チャッピーのエセ占い館 ～恋の行方はAIまかせ？～
第3.5章
数秒後、AIから回答が返ってきた。その内容は、「彼が最近冷たいのは、仕事や個人的な悩みで心の余裕を失っている可能性があります。浮気ではなく、別の理由で態度が冷たくなっているかもしれません。一度、落ち着いて彼の気持ちを聞いてみることをおすすめします。あなたの不安な気持ちも正直に伝えてみましょう」というものだった。
AIらしい慎重なアドバイスだ。俺は瞬時にそれを頭の中で要約し、占い師風の言い回しに変換する。
「……見えました。リサさん、あなたの彼の周りに黒い影は感じられません。浮気の兆しは薄いでしょう。ただ…彼の心には別の悩みの雲がかかっているようです。それが原因で余裕がなく、あなたに冷たくなっているのかもしれません。一度、勇気を出して彼の胸の内を尋ねてみてください。あなたの不安も、素直に伝えるのです…」
俺の言葉に、自分で言いながら若干の不安がよぎる。もしこれで本当に浮気だったらどうしよう？外れていたらリサさんを余計に傷つけてしまうかもしれない。
でも今はこの占い結果を信じるしかなかった。俺は声にできるだけの確信を込めて締めくくる。
「きっと、あなたの愛と勇気が、曇った空に光を取り戻すでしょう…」
配信を終えた後も、しばらく心臓の高鳴りが収まらなかった。大丈夫だろうか。俺は正直、自信がなかった。AIの回答をそのまま伝えただけとはいえ、もし彼氏さんが本当に浮気していたら……。
「まあ、占いなんて当たるも八卦当たらぬも八卦って言うしな」
自分に言い聞かせ、俺はなんとか気持ちを落ち着けようとした。
すると、そのときPCに一通のメッセージが届いた。リサさんからだ。
「チャッピーさん、占っていただきありがとうございました。勇気を出して、今、彼に電話してみました……。彼は驚いていましたが、最近忙しくて余裕がなかっただけで浮気なんてしてない、と謝ってくれました。むしろ私を不安にさせてごめん、と言ってくれました。チャッピーさんのおかげです！本当にありがとうございます！」