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農業競争力強化支援法(平成29年法律第35号)第8条第4項は、種子や種苗に関する規定で、以下の内容です:
「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」
目的: 公的機関が長年蓄積してきた種苗生産の知見を民間企業に提供することで、効率的な種子開発や供給体制を構築し、農業の競争力を高める。
懸念点: 一部では、この知見の提供が遺伝子情報などの知的財産を含む可能性があり、グローバル種子企業への技術流出や種子の独占を招くとの批判があります。 特に、2017年の国会審議では、知見に遺伝子情報が含まれるか否かについて議論が交わされ、明確な定義が求められました。
※競争力を強める=市場原理(弱肉強食)
※知見に遺伝子情報は含まれる
種苗法について
2015年時点と2020年改正後の違い
2015年時点の種苗法と現行法(2025年時点)を比較し、外国人育成者権に関わる変更点を以下にまとめます:
海外持ち出し制限(第21条の2):
2015年:存在せず。外国人を含む第三者が登録品種を海外に持ち出しても規制できず。
2020年改正:育成者権者(外国人含む)が、種苗の海外持ち出しを指定国以外で禁止可能。出願時に届け出(第10条)。
自家増殖の規制:
2015年:自家増殖は原則自由(第21条)。外国人育成者も農家の自家増殖を制限不可。
2020年改正:登録品種の自家増殖が許諾制に。外国人育成者も許諾条件を設定可能(例:ロイヤリティ要求)。
罰則の強化:
2015年:育成者権侵害は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(第46条)。
2020年改正:法人に対する罰金上限が3億円に引き上げ。外国人による侵害にも厳格対応。
実務の変化:
2020年改正後、外国人育成者は海外持ち出し制限を活用し、品種の国際的保護を強化。例:欧州の種苗会社が日本で登録した品種を中国への流出から保護。